2020年国勢調査
3,495,993
人のカムが中国で数えられた。その半数近くが貴州に暮らす。

Gaeml侗族Dong
歌と、木と、米の民。
貴州、湖南、そして広西が出会う山々の奥へ。

案内役のアンバサダー
霧の中から、どうぞこちらへ。鼓楼へ、屋根のある橋へ、そしてカムの歌へとご案内します。
カムに会いに
緑の山あいの谷に暮らす、350万の人々。釘を一本も使わずに建てた杉の村。屋根のある橋。太鼓を抱く塔。そして、書物ではなく歌に受け継がれてきた歴史。
2020年国勢調査
3,495,993
人のカムが中国で数えられた。その半数近くが貴州に暮らす。
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の声調をもつカム語。開いた音節に9つ、詰まった音節に6つ。

0
本。伝統的な鼓楼に使われる釘の数。すべての梁は、ほぞ組みで組み合わされている。
UNESCO
2009
大歌が「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載される。
FAO GIAHS
2011
従江の稲・魚・鴨の田んぼが、世界農業遺産に認定される。
文字
1958
伝統的な文字をもたなかったカム語のために、ラテン文字の表記法がつくられる。
鼓楼


層の数はたいてい奇数。カムが建材とする杉の木のように、上へ行くほど細くなる。
打ち鳴らして村人を呼び集める。話し合いのとき、危険が迫ったとき、祝いのとき。
杉の幹が塔全体を支える。梁はほぞ組みで、柱にがっちりと組み込まれる。
その下に開かれた広間で、長老たちが語り合い、もめごとが裁かれ、歌が教えられる。

風雨橋
カムの村では、屋根のある木造の橋で川を渡る。旅人の雨宿りの場であり、近所どうしの市場であり、若者たちの出会いの場でもある。彩色された梁から、もうひとつの名がついた。花橋。

程陽橋 · 広西、三江
八つの村の長老50人が、お金、木材、穀物、労力を出し合って架けた。石の橋脚の上に、釘を一本も使わずに。
大歌 · 侗族大歌
ひとつの声。 やがて、ふたつ。 そして、村じゅうの声。
いくつもの声部。指揮者はいない。楽器もない。

「米は体を養い、歌は心を養う。」
貴州のカムに伝わる言葉
歌い手は年齢ごとの合唱隊に分かれ、鼓楼で歌う。大歌は、蝉や鳥の声、流れる水の音をなぞる。師は弟子へ、ひとつひとつの声部を、何年もかけて伝えていく。
UNESCOはこれを「トン族の百科事典」と呼ぶ。村の歴史、自然についての知恵、そして年長者や隣人を敬う作法。そのすべてが記憶のなかに、ハーモニーのなかに保たれている。


稲。
魚。 カム語: bal
鴨。 カム語: bedl
貴州の従江では毎年春、水を張った田んぼに魚が放たれ、そのあとに鴨が続く。魚と鴨は雑草や害虫を食べ、水をかき混ぜ、肥やしを与える。そして田んぼは、米と魚と鴨を返してくれる。
FAO · 世界農業遺産(GIAHS)
2011年から
トン族の稲・魚・鴨システム(従江県)
カムの食卓

主食はもち米。香り高い土地の品種を、竹かごから手でつまんで食べる。

魚や肉、野菜を米と塩で漬け込み、酸っぱくなるまで寝かせる。漬けた魚は何年ももつ。

ほとんどの料理に唐辛子。生で、干して、つぶして、漬けて。

家で醸し、客人に注ぐ。それも、客が門をくぐる前から。



藍と糸
家で織り、藍で何度も何度も染め、金属のように光るまで木槌で叩く。

上着一枚に、ひと季節分の手仕事。糸を紡ぎ、織り、染め、叩き、母や祖母から受け継いだ文様で袖口と襟に刺繍をほどこす。

菱形、ジグザグ、杉の木。家の織機で、糸を一本一本数えながら織り出す。十以上ある工程のなかで、最も難しい作業だ。カムの錦織は2008年から国家級無形文化遺産。このページを区切る帯も、その文様を借りている。

背負い帯には、その家でいちばんの針仕事がほどこされる。太陽、渦巻き、鳥、花を、密なサテンステッチで。次の世代を包むために。
手仕事
薄く打ち延ばした銀。釘を使わずに組んだ杉。糸より細く割いた竹。一本ずつ巻きつけた絹糸。


银饰 · 銀
カムの銀細工師は、銀を叩いて板にし、引き延ばして線にし、小さなたがねで手ずから文様を打ち出す。重ねた首飾り、鎖と鈴を下げた襟飾り、櫛、かんざし。祭りの日には、それらをふんだんに身にまとう。


木构 · 木
鼓楼や風雨橋を建てる技(2006年から国家級無形文化遺産)は、そのミニチュアもつくり出す。梁はすべて木栓で留め、溝にはめ込む。寸法は図面ではなく、印を刻んだ竹の物差しに記されている。


竹编 · 竹
竹を、きっちり編めるほど細いひごに割く。田んぼでの昼食までもち米をやわらかく保つ蓋つきのかご、背負いかご、ふるい、そして田んぼで使う魚とりのわな。


吉祥花 · 絹糸
小さな枠に絹糸を巻きつけ、房をつけて仕上げる。もとは風雨橋や鼓楼に吊るされ、穏やかな天候を願うものだった。いまではバッグや鍵につけられて旅をする。その製作技術は、柳州の無形文化遺産に登録されている。
一年をめぐって

芦笙
竹のリード楽器。高さ2メートルに達するものもあり、大きな輪になって踊りながら吹き鳴らす。

Lan lu ge · 拦路歌
ある村が別の村を訪ねると、客人たちは村の入り口で、道をふさぐ柵と歌い手に足止めされる。歌で一節答えるたびに、道がひとつ開けていく。

百家宴
客人を迎えるときや大切な日には、食卓を端から端までつなげる。乾杯のたびに、歌が入る。

サ・スイ · 祖母神
祖母神サ・スイ(薩歳)は、カムにとって最も崇められる神。多くの村が、彼女を祀る石の祭壇を守っている。

カムの正月
多くのカムの共同体では、収穫を終えると独自の正月を迎える。中国の正月とは別に、もうひとつ。
カム語 · lix Gaeml
カム語はクラ・ダイ語族のカム・スイ語派に属し、スイ語、マオナン語、ムーラオ語と近い親戚にあたる。1958年につくられたアルファベットでは、各音節の最後の文字は音ではない。声調を表している。
-b, -d または -g で終わる音節には、さらに6つの声調がある。使う文字はそのうち6つの再利用で、響きも対になる開いた音節の声調に近い。違いは、短く切るか、長く伸ばすか。
歌を聴くなら
カムの多くは、貴州、湖南、広西が出会うあたりに暮らしている。険しい谷と杉の森が広がる土地で、ところによってはカムの名を冠した州や県が治めている。
貴州、黎平県
カム最大級の村のひとつ。五つの氏族、五つの鼓楼、五つの花橋、五つの芝居舞台。
広西、三江県
川沿いに並ぶ八つの村。それをつなぐのは、数ある風雨橋のなかでも最も名高い橋。
貴州、黔東南
棚田の広がる山あいの土地。いまも稲と魚と鴨が、同じ水を分かち合う。
貴州、従江県
大歌の合唱で、中国じゅうに名を知られる村。

地図のどこにもない場所。ともに生きるという、ひとつの暮らし方。歌のなかに、木のなかに、そして米のなかに。

また会う日まで
次は祭りの季節に、あなたの声も連れてきてください。村の入り口では、歌って通らなければならないかもしれませんから。